痒いのに掻けない

痒いのに、どこを掻いてもどこだかわからない。
そんなことありませんか？

実はそれ、どこも痒くないんです。

脳が勝手にそう思い込んでるだけ。
そもそも痒みというのは、皮膚や筋肉に起こった炎症が
痛感神経に触れることで脳に信号を伝達し、
脳はそこを掻いて原因を取り除こうとする神経反射の一つです。

ところが、さほどの刺激でもないものが増幅されて
過剰な信号を送ってしまうと、脳は痒いと判断していまいます。
体中の痛みというのは各部位自身ではなく、
神経の情報をもとにして脳が感じているものなので、
脳が錯覚を起こしてしまうと、痒くもないところが痒く感じてしまうのです。

似たような症状に「幻肢症（げんししょう）」というものがあります。
事故などで失ったはずの脚の痛みを感じてしまうという症状です。
これも同じ理屈です。

この症状は決定的な治療法がありません。
寝るか、他のことに集中して、意識を反らす必要があります。
意識すればするほど痒さが増してくるので、
日頃から「痒いところを掻く」という行為を抑えていればいいのです。

掻くという行為は、皮膚にとってはダメージです。
ノミやショベルカーなどで木や土の表面をガリガリと削っているのと同じです。